建設工事の安全性を総合的に向上させるため、近年、上海市や南寧市などでは、安全ヘルメットの共同着用や「スマート安全ヘルメット」の導入などを推進し、安全事故の発生源を減らしている。
安全性の共有が効率を高める
上海市奉賢区のある建設現場では、30人以上の建設作業員がヘルメットの正しい使用方法に関するトレーニングビデオを集中して見ていた。トレーナーは、丁寧な説明とコマ送りでヘルメットの重要性と保護メカニズムを分析した。鉄鋼作業員のラオ・グイは、「この研修を受けて、ヘルメットは生命の安全を守る最後の砦であり、決して無視できないものだと深く認識しました」と率直に語った。
この訓練は、奉賢区建設管理委員会が開始した特別キャンペーン「ヘルメットをかぶって安全を守ろう」の一環である。このキャンペーンは、区内全域で「インテリジェント共有ヘルメット」システムを推進し、「建設現場＋周辺道路」という2大シーンの深い統合と連携管理を実現し、建設安全における難点の解決を支援するものである。これまでに30以上の建設現場に共用ヘルメットキャビネットが設置され、年内に区内すべての建設現場で共用ヘルメットの完全普及を達成し、都市建設者を保護する計画だ。
建設現場で多発するヘルメットの忘れ物や紛失問題に対応するため、建設会社では建設現場の出入り口に便利なヘルメット共有キャビネットを設置している。建設作業員は簡単な操作でヘルメットの貸出・返却ができるため、作業効率が大幅に向上し、安全装備の不備による安全障害のリスクも軽減される。また、ヘルメットを常に最良の状態に保つため、各建設現場では厳格な日常点検システムと定期メンテナンスの仕組みを確立し、ヘルメットの無傷率が100%に達するようにし、装備の破損による安全事故を効果的に回避している。
建設労働者の安全意識と操作技術をさらに高めるため、奉賢区建設管理委員会はまた、人目を引く安全警告ポスターと詳細な操作ガイドを設置し、イラストの形で建設労働者にヘルメットの正しい使い方を普及させた。
スマート監督が標準化を促進
広西チワン族自治区南寧市梁慶区の建設現場では、監督者たちが「スマート安全ヘルメット」を着用し、監督・検査の新たな一日が始まった。この「スマート安全ヘルメット」は安全保護製品であるだけでなく、ネットワーク伝送、照明、ビデオ録画、リアルタイム測位、音声インターホン、SOS（緊急救難信号）アラームなどの機能を統合した法執行用レコーダーでもあることが理解できる。昨年、自治区住宅都市農村開発部は特別補助金を手配し、自治区の第一線建設プロジェクト品質安全監督者に「スマート安全ヘルメット」を装備させ、監督チームの情報化と標準化を促進した。
毎日の現場検査やパトロールの際、監督者はハードハットをかぶるだけで、建設現場の施工品質や安全生産状況をリアルタイムで正確に把握し、記録することができる。ある監督者はこう話している："潜在的な安全上の危険が発見されたら、ハードハットの撮影ボタンをタップするだけで素早く証拠を入手し、事務所に戻って検査中に撮影した写真をパソコンで見ることができます。"スマートなハードハット」で撮影した高解像度の写真やビデオを証拠として使用することで、データの完全性と信憑性が保証されるだけでなく、その後の是正要求や処罰措置の実施にも強力なサポートとなる。
さらに、「スマート安全ヘルメット」は広西チワン族自治区建設工程品質安全監督情報管理システムとのシームレスな接続も実現した。関係責任者によると、現場の監督者が発見した問題は、安全ヘルメットに内蔵された通信システムを通じて、バックグラウンドに迅速にアップロードすることができる。各級の住宅・都市・農村開発当局は、現場の監督者とリアルタイムで通信し、遠隔調査とリアルタイム指導を実現することができ、監督の適時性と柔軟性を大幅に向上させ、監督当局が迅速に対応し、的確な政策を実施し、重大事故の危険性を効果的に特定・除去し、監督効率を全面的に向上させることができる。同自治区住宅都市農村発展局の関係責任者は、「今後、監督システムを絶えず改善し、建設のインテリジェント管理を強化し、建設現場管理の全過程のデジタル化、精密化、インテリジェント化を効果的に改善する」と述べた。
隠れた危険をリアルタイムで発見・排除
山東省青島市の地下鉄9号線鎮陽中路駅の建設現場では、建設作業員のヘルメットの後部に「小さな黄色い箱」が追加されている。この「小さな黄色い箱」はヘルメットの「スマートブレイン」であり、着用者の三次元位置決めを実現するだけでなく、着用者の周辺環境をリアルタイムで感知・監視することができるという。ヘルメットにはチップを内蔵しており、人員情報を保存し、情報送信機能を持つ。工事現場には複数の情報収集杭が分布している。センサーネットワーク技術とマルチモード測位技術により、正確な人員測位を実現する。
建設作業員のスマートヘルメット着用は、インテリジェント化への第一歩に過ぎない。チップから送信されたデータをインテリジェント管理システムで分析することで、人員配置、安全管理、勤怠統計、作業効率分析など多角的なインテリジェント管理を実現できる。同時に、インテリジェント管理システムを利用して建設現場のバーチャルモデルを構築し、現場の危険区域をモデル内にマーキングすることができる（電子柵技術）。人が危険区域に近づくと、システムが自動的に音声で注意を促す。さらに、安全ヘルメットはオペレーターと1対1の実名制で結ばれている。現場で緊急事態が発生した場合、オペレーターはSOSボタンを長押しして助けを求めることができる。システム・プラットフォームは直ちに遭難メッセージを受信し、背景地図にリアルタイムでその位置が表示される。さらに、安全ヘルメットをかぶった人の移動軌跡を見ることができるため、事前予防、作業中警報、事後引き返しなど、建設安全のインテリジェント制御が実現する。
福建省漳州市の一部の建設現場では、パノラマ検査、画像比較、AI（人工知能）モニタリングなどの技術手段を採用し、より安全で高度な工程管理手法を導入している。プロジェクト現場では、建設安全担当者がパノラマ安全ヘルメットを着用し、定められた要件に従って毎日建設現場の主要エリアで詳細な検査を実施し、ドローンが到達しにくい内部検査の死角を効果的に埋めている。これらの画像データは、リアルタイムでバックグラウンドストレージに送信することができ、プロジェクト管理担当者は、建設現場の安全上の危険を迅速に特定し、対処し、重要なエリアに的を絞った検査と指揮を行うことができる。また、プロジェクト部門は、工事安全担当者が同じ場所、異なる時間帯に撮影したパノラマ画像を比較・分析し、工事現場の品質・安全危険の是正と実施を正確に評価し、是正効率と実行力を大幅に向上させる。また、AIモニタリングにより、安全ヘルメットの着用、反射服の着用、エッジプロテクションの接近警告、作業員の喫煙など、さまざまな潜在的危険を自動的に特定することができ、危険の特定から責任の履行、是正完了までの全プロセスのクローズドループ管理を実現する。